「きっと、また会える。」
気持ちよさそうに、まどろんでいるたまの顔を見ていたら・・・
だんだんと、僕も眠くなってきた。
たまの体に、擦り寄り僕は目を閉じた。
その日、僕は夢を見た。
僕が、見た夢はとても幸せで・・・・
とても、悲しい夢だった。
気がついた時には、僕の傍には誰もいませんでした。
心細くて、僕は鳴き声をあげました。
「にゃぁーん。」
でも、誰も僕の声には応えてくれません。
「にゃーーーんぅ・・・」
僕は、鳴き続けました。
私の耳に、子猫の声が聞こえた。
ーーーーどこから?
ーーーーーどこだろう?
ーーーーああ、この子がないていたのか・・・・。
「おや、どうしたんだい?」
そう問いかけてみたものの・・・・
「うみゃーん。」
子猫は、鳴くばかり。
「親は、どうしたの?」
「にゃーん・・・・」
私は、少し考えた。
ーーーーこの子は、まだ一人では生きてはいけないだろう。
そして、決めた。
「仕方がないね。ついておいでよ。」
そう言いゆっくりと歩き出すと、子猫は後ろをついてきた。
今でも思う。
どうして、私は子猫を拾ったのかを・・・
でも、考えてもわからない。
私は、この子と同じだった。
気がついた時には、一匹だった。
親も、兄弟もいなかった。
だから、一人で生きていくしかなかった。
それでも、生きていけた。
他の猫達は群れを作ったりしてた。
だけど、私は一匹だけですごした。
だって、その方が気楽だったから。
それに、群れを作ったら目だってしまう。
目立たないに、こした事はない。
なのに、私は子猫を拾った。
何故だか、私にもわからない。
寒い夜は、子猫を抱きしめて眠った。
あたたかいって思った。
えさをほおばる顔が、かわいいと思った。
子猫と過ごす時間は、あっという間だった。
時間がたち、子猫は成長して・・・・
私は、老い力をなくした。
ーーーーもう、この子を守る力はなく。
この子の重荷になるしかない。
私には、最後の時が迫っていた。
だから、私は、あの子を追い出した。
「どうして?」
ーーーーあの子は、泣きながら私に問いかけた。
「ここまで、育ったら一人で生きていけるだろう?」
「一人は、嫌だよ。」
そう泣くあの子を、爪をたて威嚇した。
泣きながら、あの子は逃げてった。
何度も、後ろを振り返りながら。
あの子の背中が見えなくなり・・・
私は、そっと老いた体を横たえた。
目がかすんで・・・
見えなくなる。
それでも、私には見る事が出来る。
あの子の可愛らしい顔を・・・
思い出すのは、あの子の事ばかり・・・
ああ、寒い夜空の下で体をくっつけて過ごしたね。
あの子は、とて暖かかった。
ーーーーどうして、あの子を拾ったんだろう。
ずっと、考えてた。
やっと、答えがみつかったよ。
私は、寂しかったんだ。
一人で生きていく事が・・・・
寂しかったんだ。
だから、あの子を拾ったんだ。
ああ、私は幸せだった。
とても、幸せだった。
どうしてか、わからなかった。
昨日まで、優しかったあの人。
僕は、何かをしたのかな?
怒らせてしまったのかな?
爪を立てられて怖くなった。
だから、逃げた。
でも、やっぱり寂しくて戻ってみた。
怒られるかなって思ったけど。
僕が、何か悪い事をしたなら謝ろうって・・・
そう思って、戻った。
あの人は、いた。
眠っているみたいだ。
そっと近寄って、頬にすりすりってした。
だけど、あの人の体はとても冷たかった。
体をくっつけたら、暖かくなるかなって思った。
だから、体をくっつけた。
だけど、全然暖かくならなかった。
「にゃーーん。」
何度も、呼びかけた。
だけど、全然返事をしてくれない。
悲しくて、悲しくて・・・
僕は、泣いた。
泣きながら、僕は感じてた。
あの人が、二度と目を開ける事がない事・・・
二度と、この体が暖かくなる事がないって事・・・
二度と、あの人の声を聞く事がないって事を・・・
僕は、泣くだけ泣いた。
それから、僕は長い事生きた。
その間、いろいろなことがあったけど。
僕が泣く事はなかった。
僕の中で、あの人の別れほど悲しい事はなかったから。
そして、やっと僕に迎えが来たようだ。
僕は、地面に体を横たえて・・・
その瞬間を待つ。
あの人と同じ場所へ行く。
そしたら、あの人にもう一度会えるかな。
ううん、きっと会える。
僕は、そう思っていた。
最後のその瞬間まで。
「にゃあーーん。」
横で眠っていた、クロが大きな声でないた。
気持ちよく眠りかけていた、僕は腹がたって。
あいつをゆり起こした。
「クロ・・・何寝ぼけているんだよ。」
「あっ・・・僕ねえ。夢を見たんだよ。」
寝ぼけ顔で、クロが言った。
「へえ・・・・夢ねえ。」
どうせ、リリーちゃんの夢でも見たんだろう。
クロが、最近おいかける美人猫のリリーちゃんを僕は思い浮かべた。
だけど、クロの返事は思ってもみないものだった。
「また、会えたね。僕は本当に嬉しい。」
そんな謎の言葉を残して、あいつはまた一人で眠りについた。
ーーーまた?
またぁー?てなんだ??
わかんねー。
疑問に包まれた僕だけを残して。
end
このページの画像は、全てNEW KAOKAOKAORIN
のかおりん様よりお借りしています。
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